最近、仕事場の雰囲気が一際アジアンに傾きつつあります。
何より部屋で一番インパクトがあるのは、我が愛するバリ人形や大倉陶園のブルーローズ辺りかと思いますが、昔からエスニック生地を愛用する私は、壁に飾れる素敵なイカット布を探していました。しかし、なかなか気に入ったものに出会えない。
悲しく思っていた矢先にふと浮かんだのが、「そうだ!本場京都の友禅染めを飾ろう」というアイデア。
早速、日頃から私が兄のように慕っている存在__京都で呉服屋を営み30年になる友人に相談・・・。
前にも何度か触れたことがありますが、生粋の京男である彼は、着物の染めや品質は勿論のこと、着物の価値を見極める目はとにかく超一流。
地元京都の老舗職人さん方から愛され、絶大な信頼を受けている着物屋さんです。
しかも、そのずば抜けた感性とユーモアに満ち溢れた個性は、全国の着物通の間でも一目置かれる存在。
日常、愛用している様々なものも、密かにヴィンテージアイテムだったりする粋な男です。
そして、その素顔は・・・ギターのワビサビを語らせたら非常に煩い、着物業界きってのBlues好き。
実は、私の中のブルースの扉をこじ開けてしまった張本人でもあります。
(こんなに書いたら怒られるかな・・・
)
兎にも角にも、昔から私を何かと支えてくれている大恩人・・・。
・・・異様に長い前置きで申し訳ありません。実は今回、彼のAuctionを見ていて「コレは!!!」という友禅染めに一目惚れしてしまい、遂に初めて京染を購入したのです・・・!!!
京小幅板場友禅 「本蝋纈染め吹雪観世流水総柄」
職人さんの手染めによる吹雪柄と観世流水紋様が見事に染め込まれた本蝋纈染め。
因みに『観世水』とは・・・《観世流の紋所だったところから》渦を巻く水の模様だそうです。
常に新しく変わりながら姿をとどめている水の流れに、人間の理想の姿を重ね合わせた柄と言われ「未来永劫」を表してるのだとか・・・。能楽の親とも言える観世流の紋を、ここまで美しく染め抜いた逸品を手に出来るだけで光栄というもの・・・。
アニミズム好きな私が初めて手にした京友禅が、奇遇にも「猿楽」に因んだ作品だったというだけで興奮・・・。
そう言えば、世阿弥の代表作に『高砂』がありますが、私の住む地域は「仙台市の高砂地区」です(笑)
届いたお品は期待以上!私以上に母が驚嘆するほど素晴らしい友禅でした。壁に飾るなんて申し訳ない、やはり真っ当に着物に仕立てようか・・・と迷わせた極上の逸品。(でも飾りました。)
しかも、ずーっと前から浴衣が欲しかった私は、その念願も叶えて貰いました。
京都の浴衣。麻が55%も入っているので涼しく、その着心地の良さに至っては言葉では言い表せません。
もう・・・日本人の文化と感性は、なんて素晴らしいんだろう・・・!!! と改めて感動。
アバンギャルドな髪型に戻ったくせに、和装・オリエンタル方向にジワジワと にじり寄っていく私でした。
着物を探しているのに良い品と出逢えずに嘆いている方、本当に信頼できる本場京都の和装小物屋さんをお探しの方には、私が自信を持ってお薦めします。
そんなわけで、定休日の昨日は部屋の模様替えに燃えていました。
京都のイカした呉服屋さん 『ふくら雀』
※ご店主のリアルタイムの商品は、現在Yahoo!Auctionにて閲覧可能です。
★ふくら雀ご店主のAuctionページ
《後日談》
観世流水とされる模様は比較的ポピュラーなものだそうですが、この反物の独特の流水模様の場合は、尾形光琳(1658-1716)の光琳波と呼ばれる渦巻模様をモチーフにした作品ではないか・・と、ふくら雀のご主人から教えられました。(さすが・・プロ!) それなら尚更、身に余る作品・・・
日本屈指の能楽師と絵師に因んだデザインだなんて・・・!!!
畏れ多い作品に少しでも肖れるよう、日々精進したいと、気が引き締まる思いです。